【レビュー】SONYの高級フルワイヤレス WF-1000XM3 を使ってみた

AppleのAirPods ProとSONYのWF-1000XM3、フルワイヤレスイヤホンはこの二つが売れ筋ですよね。販売数で言えばAirPodsの圧勝ですが、僕が持ってるスマホはあいにくAndroidなので、SONYのWF-1000XM3を買いました。今回はそれのレビューです。

買ったのは1月ごろなので3、4か月使用しています。レビュー時に写真を撮っているので少し本体に傷がついていますがご了承ください。

買った動機

以前は同じくSONYのWI-1000Xを使っていたのですが、雨に濡れて故障してしまいました。後継のWI-1000XM2も発表されていて、それと迷いましたが、後継ではなく全く新しいものを使ってみたかったのでこのモデルにしました。

WI-1000XM2のほうが有線でも音楽が聴けたり、LDAC対応でワイヤレスでもハイレゾ再生できたり、バッテリーの持ちもよかったりとメリットも多いのですが、その分値段も高く、手が出しにくくなってます。より音質にこだわる方にはWI-1000XM2をお勧めしますが、そこそこの音質で快適に聞きたいならWF-1000XM3がおすすめです。

参考までにこの記事執筆時点での価格は、

  • WI-1000XM2 : ¥30,340
  • WF-1000XM3 : ¥23,579

です。(参考: 価格.com

開封

最初開封したときに写真を撮り忘れたので、後から再現しています。細かいところなどは再現しきれていません。

箱を横にスライドすると、イヤホン本体が出てきます。

付属品はこんな感じです。USB Type-Cのケーブルは付属していますが、ACアダプターは付属していませんので、別途ご用意ください。iPhoneについてくる5Wのアダプターで十分です。

イヤーピースは2タイプ7種類付属しています。左3つはトリプルコンフォート(低反発シリコン)、右3つはハイブリッド(普通のシリコン)です。本体にはハイブリッドイヤーピースのMが装着されています。

充電中はこんな感じで、本体とケースが赤く光ります。

音質

音の特徴

最近のSONYのハイレゾ対応イヤホンは、フラットな音で細かい音のニュアンスまで聞き取りやすくなるようチューニングされています。このモデルもその傾向があり、聞く音楽のジャンルによっては低音など物足りないと感じるかもしれません。後述するアプリのイコライザでいくぶんかは改善可能です。

ただし、フラットな音なので基本的にはどのジャンルの音楽も聴けますし、低音足りないなと思っても聞いてるうちに耳が慣れてきます。本体サイズの割にはちゃんとした音が出ています。

技術的な面では、このイヤホンではQN1eというチップが搭載されています。このチップがノイズキャンセルの処理をしたり、DACの役割をしたりと音質の要的な役割です。オーバーヘッド型のWH-1000XM3やネックバンド型のWI-1000XM2ではQN1が搭載されていて、それの省電力版的な位置づけです。

WI-1000Xとの比較

以前持っていたWI-1000Xとの比較です。WI-1000XM2ではないのでご注意ください。

まず高音に関しては、ツイーターとしてBAドライバを積んでいるWI-1000Xのほうが、より細かい音まで聞きとれます。具体的には、アーティストの息遣いや、シンバルの音、さらにはドラムをたたいた時のノイズもしっかり聞こえます。WF-1000XM3はダイナミックドライバー1つなので、高音域が少し弱いです。

逆に低音に関しては、WF-1000XM3のほうがよく出ているように感じました。音に迫力がある感じで、聞いていて楽しくなる感じの音です。WI-1000Xはハイレゾ対応を押しているので、高音域重視で作ったのかもしれないですね。

対応コーデックは少なめ

SONYの1000Xシリーズは対応コーデックが多いイメージがあったのですがこの機種はSBCAACにしか対応していません。SONYが利権を持っていて導入にコストがかからないLDACに非対応なのは技術的な制約のせいだと思います。LDACを使うと電波が切れやすい、バッテリーが持たないなどの評判もあるため、この小型のフルワイヤレスにはきつかったのでしょう。Apt Xに対応していないのは、Qualcommのチップを使っていないからという噂もありますが真偽のほどはわかりません。Androidも8.0からAACに対応したので、AACで十分だといえば十分ではありますが、Walkman A50シリーズなどはAAC非対応なので、SBC接続になってしまうのが残念です。

音質的には、LDAC>Apt X HD>AACApt X >SBC だと思います。(個人の感想です。聞き比べはPixel 3aとWI-1000Xで行いました。)Apt Xは遅延が少ないというメリットがあり、動画コンテンツなどを見るときには有利です。AACはもともとiPhoneで採用されていました。

ノイズキャンセル

ノイキャンはこのモデル一番の目玉といえるのではないでしょうか。下位モデルのWF-H800などではこの機能が削除されています。SONYのフルワイヤレスではこのモデルとWF-SP700Nだけノイキャン搭載ですね。外側と内側に2つのマイクを搭載する、デュアルノイズセンサーテクノロジーを搭載しているのはフルワイヤレスではWF-1000XM3の方のみですので、ノイキャン性能はかなりいいです。

場面によって効き目が違う

SONYのノイキャンは得意不得意がはっきりしていて、エンジン音などの低音ノイズは得意ですが、しゃべり声などの高音ノイズは苦手です。バスなどになると、エンジン音は消えるのに周りのしゃべり声やアナウンスは多少聞こえます。多少聞こえるのですが、音楽をかけると気にならないレベルです。静かなクラシックを聴きたいという方や、ノイズの影響をまったく受けず音楽を聴きたいという方には力不足かもしれませんが、大体の方はこのレベルのノイキャンで満足できるのではないでしょうか。僕は満足しています。

そもそもカナル型なので、適切なイヤーピースをつけて耳に装着するだけで耳栓効果がありますし、全く聞こえないと危険に気づけず危ないです。

ほかに気になるのは、強風の時の風切り音です。普通に歩いてる時とかなら気にならないレベルなのですが、地下鉄の出入り口などではかなり気になります。自転車とかでも風切り音が大きいのかもしれませんが、自転車に乗るときにイヤホンをつけるのはマナー違反なので問題外です。外音取り込みでも危ないのでやめましょう。最近は骨伝導型の、周りの音が自然に聞こえるタイプのイヤホンも発売されているので、自転車に乗りながらどうしてもイヤホンを使いたい場合はそういったものを使いましょう。あと、夜はライトをつけましょう。

外音取り込み

外音取り込みは、ノイキャン用に積んでいるマイクで拾った音をイヤホンから出力することで、オープンイヤー型イヤホンのように外の音を聞こえるようにする技術です。

割と便利ではあるのですが、会話が聞き取りにくかったり、自分の声がこもって聞こえたりするので完璧とまではいきません。一時的に外の音を聞きたいときや、歩きながら周りの危険に気づくためくらいなら全然使えます。

デフォルトでは左側のタッチセンサーを長押しすることでクイックアテンションモードに入ることができ、外音取り込みをオンにして音楽の音量を下げることができます。急に話しかけられたときに便利かと思いきや、切り替わるまで時間がかかるので、イヤホンを外した方が早いです。笑

付け心地

SONY商品ページより引用

ほかのフルワイヤレスイヤホンより筐体が大きくまた重量もあるため、設計に苦労したようですがそのかいあってか着け心地はとてもいいです。一か所に重さがかかって耳が痛くなることなく長時間つけていられます。ただフィットさせるのが難しいので、一度つけた状態で鏡を見てみたりして、ちゃんと装着できているか確認してみるといいと思います。うまく装着できていないと音漏れしたり、耳が痛くなったりします。

摩擦係数の高い素材が使われているので、つけたまま走ったりしても落ちることはないですが、特に激しいスポーツを頻繁にやる場合には、WF-SP700Nのようなスポーツモデルも検討してみるといいかもしれません。現状、僕が日常生活をしている中で勝手に外れたことはありません。

バッテリー

ほぼ公称値通り

音量を最大の4割ほどで聞くことが多いですが、公称値通り充電なしで6時間ほど再生できています。途中再生を停止していることもあるので、少し短いかもしれませんが実用十分持ちます。このモデルは本体が大きく重い代わりにほかのフルワイヤレスイヤホンと比べてバッテリー持ちがよいという特徴があります。参考までにAirPods Proのバッテリー持ちの公称値は4.5時間です。

WF-1000XM3にはイコライザやDSEEといった音質改善ツールがあり、それらを使うと公称値よりもバッテリーの持ちが悪くなります。これに関しては詳しい検証ができていないのですが、8割以上は持つと思います。最低でも4時間は連続再生できます。

バッテリー確認は4段階

バッテリーはアプリで、またはBluetooth接続時に音声で確認できます。アプリでは20%・50%・70%・100%の四段階、音声では20%・50-70%・100%の三段階です。

iPhoneだとアプリを開かずにステータスバーでバッテリー残量が確認できます。Androidでは機種によって違うようです。アプリでは左右それぞれのバッテリー残量が確認できます。また、本体アップデートによりバッテリーケースの充電残量もアプリで確認できるようになりました。こちらは100%・70%・30%・5%だった気がします。うろ覚えですみません。

再生中にバッテリー残量が20%を下回った場合、音声でお知らせしてくれます。この機能はアプリでオンオフが設定できますが、オフにするとほかの音声メッセージまでオフになってしまうので注意です。

アプリの使いやすさ

WI-1000Xのように聞こえる方向の変更などはできませんが、あの機能はいらないので困りません。前世代のWF-1000Xと比べて、イコライザが使えるようになったのが大きな進化点。変更はすぐに適用されて、とても快適です。SONYにしては珍しくアプリのできがいいです。本体アップデートの際には結構な時間がかかります。また音声ガイダンスの変更も長時間かかります。自動電源オフを切って放置しておきましょう。

ヘッドホンやバッテリーケースの充電残量はここで確認できます。Android10(Pixel 3a)の場合は通知パネルでも確認できました。

Pixel 3a @Android 10

DSEE HXのバグ(音が割れてノイズが入る)

これは個体差もあるのかも知れませんが、DSEE HXをオンにするとノイズが入る場合があります。詳しく発生条件を調べてみると、どうやら充電中(本体のランプが赤く光っているとき)にケースから取り出すと起こるようです。ケースから出したまま本体を再起動すると直ります。

ノイズは高音がざらついて、音が割れる感じのノイズです。シンバルの音や、女性アーティストの声で特に顕著です。せっかくアップコンバート機能があるのに安心して使えないのは残念です。取り出すたびに再起動させるのは面倒なので、ソフトウェアアップデートで改善してほしいものです。もしこの現象が発生しないという方がいらっしゃったらコメントしてほしいです…。僕のイヤホンが保証期間内のうちに。笑

まとめ

いいところ
  • 音質がいい
  • ノイキャン便利
  • ほかのフルワイヤレスよりはバッテリー持ちがいい
  • 見た目かっこいい
  • イヤーピースいっぱいついてる
悪いところ
  • 重い
  • AirPodsに比べると、接続等の使い勝手が悪い
  • ケースがでかい
  • 値段が高い

まとめるとこんな感じです。音質もそこそこ、使い勝手もそこそこのバランスがいいモデルに仕上がっているので、ぜひ店頭で試してみて…と言いたいところなのですがコロナのせいでお店にも行けないので、いろんなレビュー見てみてください。